【書評】社会科学の方法。文系の学問にも「法則」は存在する。
今回はマックス・ウェーバーの社会科学の方法について記載します。
本のあらすじ
この本は、知る人ぞ知る、マックス・ウェーバーの書いた古典的名著です。
社会科学というと普通、社会学や経済学などの社会を研究対象とする学問を指しますが、この本では歴史学などの人間の営みを研究対象とする学問(人文科学)も念頭にあるようです。
著者によれば社会科学で重要なのは、個人的ではない社会的あるいはその時代のものの見方や価値観であり、これを「文化意義」とよんでいます。
そしてその文化意義によって、さまざまなものごとを結びつけて一つにまとめたものを「理念型」といいます。
この理念型をつくり上げていくことこそが、どうやら社会科学の方法らしいのです。
本を読んでの所感
この本を読むまでは、よくいわれているように「理系の学問と文系の学問に共通性はない」とか「理系の学問は考えて整理する体系的なものだが、文系の学問は単なる暗記もので断片的なものだ」と思っていました。
しかしこの本を読んだとき、その考えは一変したのです。
私は現在、人文科学のなかにもなんらかの規則性があるのではないかと思い勉強をしています。
そのきっかけの一つとなったのが、いま紹介しているこの本だったのです。
ところが、著者もいっているように結局のところ、社会科学には自然科学のような法則は存在しません。
自然科学が法則をつくり上げていくのと同じように、社会科学では理念型をつくり上げていきます。
しかしながら、理念型はいつどこにでもあてはまるような法則ではありません。
時代や社会に制約されたものです。方法はあるが法則はない、というわけです。
自分はどう成長できたか
しかしついに、ある意味での法則性を発見することができました(ここが自分の成長ポイントです)。
規則性を持っていると私が考えたのは、理念型ではありませんでした。
かといって文化意義のほうでもありません。文化意義を使って理念型をつくり出すことじたいに、規則性があるような気がしたのです。
私の考えた例を使って説明してみます。
文化意義を日本の江戸時代の考え方だとしましょう。
そしてこの考え方によって、鎖国とキリスト教を結びつけるとします。すると、鎖国によって禁じられたキリスト教、といった一つの理念型がつくられるというわけです。
しかしまだ課題も残っています。
この理念型をどうやってつくったのか、そのつくりかたにはたしてどんな規則性があるのか、という二点です。
つくりかたそのものをとくに意識してつくったわけではありませんでした。
したがってつくりかたを意識してつくり出せたときこそ、自分が本当に成長したときだと思います。