【書評】思考の整理学。忘れることで創造力が養われる
今回は外山滋比古さんの思考の整理学について記載します。
本のあらすじ
この本は数年前に話題になりました。
文章を読む場合、言葉の意味を1つ1つバラバラに理解するのではなく、文章全体の意味を1つにまとめて理解することが大事になります。
そのためには、たくさんの知識を頭につめこむのではなく、必要に応じて忘れるべきものは忘れ、頭のなかを常に整理しておかなくてはなりません。
そうすることで、新しいものを生み出す創造力が養われるのです。
要するに、ものごとは暗記するのではなく考えるべきだということでしょう。
本を読んでの所感
私にとってこの本の内容は、とくに驚くべきものではありませんでした。
個人的には以前から、目標や目的を達成するのになんでもかんでも知っておく必要はないと思っていたからです。
例えば、なにか新しいことを学ぶ場合、常にメモを取っていないと「学ぶ姿勢がないのか!」や「学ぶ意欲が足りないぞ!」と言われがちです。
しかし、自分がすでに知っているものや知る必要のないものについては、「なぜメモを取らなければいけないのだろう」と疑問に思ったことが何度もあります(相手に気を使って、メモを取るフリはしていましたが...)
そんな私の気持ちを著者が代弁してくれているのが、この本を気に入っている理由の1つです。また「必要がない」「重要ではない」という代わりに、「忘れる」という切り口で語っているところに新鮮さを感じました。
自分はどう成長できたか
私はこの本から、頭のなかを整理していく上で「忘れる」という新たな切り口を与えてもらいました。
「必要がない」とはちがい「忘れる」というのは、心の働きの一つです。
心のはたらきは脳のはたらきに関係しています。
このことがきっかけで私は脳科学について学びたいと考えるようになりました。
脳における情報処理は、その80パーセントぐらいを視覚に頼っているといいます。
したがって視覚的イメージを使えば、記憶を保持しやすくなります。
しかもそのイメージがワンシーンであれば、なおさらよいでしょう。
そのためには、余計なイメージを「忘れる」ことが重要になります。
この本は「必要がない」という私の信念に、科学的根拠を与えてくれたと思っています。